設計のポイント:エコシステムについて

高効率給湯器と太陽光発電システムは初期導入費用とランニングコストを比較。設置に必要なスペースや耐用年数などをシミュレーションの上、選択することをお勧めします。

高効率給湯器とは

近年、電気・ガス・灯油ともそれぞれのメーカーが高効率給湯器を開発し普及しています。 エコキュート(電気)、エコジョーズ(ガス)、エコフィール(灯油)、エコウィル(ガス)、エコファーム(ガス)といった商品などです。我が家にとってどれを採用していったら良いか迷うところです。初期導入費用が今までの給湯器、暖房機とあまり変わらないものもありますし、補助金を利用しながらも最初の導入費がアップ分で100万円以上となるものもあります。 基本的にはお湯を作って、そのお湯を利用するものですが、給湯だけに利用するものや給湯と暖房と両方利用するもの、暖房だけのものに分けて、それぞれの特徴を暖房機を含めて説明いたします。

・エコキュート(電気)

ヒートポンプで大気の熱を吸収してお湯をつくり、そのお湯を給湯タンクに貯めて、台所、お風呂、洗面にお湯を供給します。深夜電力を使いますので、貯めたお湯を上手に使っていくことが必要です。ベランダなどに室外機を設置し、室内にも給湯タンクを設置しますのでそのタンクのスペースが大体1㎡くらい必要です。

【参考初期導入費用(工事費別)】
パナソニック製:寒冷地用フルオート370L 定価771,750円(税込)

初期導入費は高いですが、ランニングコストは370Lで月平均約2,300円(税込)と少ないことを考えての選択となります。オール電化の家で採用することの多いシステムです。 

・エコジョーズ(ガス)

エコジョーズには給湯暖房兼用のものと給湯専用のものがあります。特徴は、給湯暖房兼用機と同じです。

【エコジョーズ参考初期導入費用(工事費別)】
リンナイ製:寒冷地用給湯専用機フルオート24号 定価246,750円(税込)

【エコキュート参考初期導入費用(工事費別)】
パナソニック:製寒冷地用フルオート370L 定価771,750円(税込)

実勢価格では、それぞれ5割程度

ランニングコストはエコジョーズが(24号ノーリツ)月約9,600円に対して、エコキュート(370Lパナソニック北海道電力エリア)は月約2,300円で、格段にエコキュートの方が安くなります。10年間でランニングと実勢イニシャルのトータルで考えてみると、エコジョーズが1,275,000円、エコキュートは661,000円でエコキュートの方が2分の1に安くなる計算です。導入のしやすさでは、エコジョーズの方が初期費用を抑えられる分利点があります。

・エコジョーズ(ガス)給湯・暖房兼用

ガスを燃焼させてお湯をつくる仕組みです。燃焼時の排気中に含まれる潜熱を回収して燃焼効率を15%アップさせています。エコキュートと特徴を比較するとエコジョーズは瞬間湯沸かし器タイプなので、使いたいときにすぐお湯が利用できます。一方エコキュートは貯湯式なので湯切れの心配があるので、お湯の使い方を工夫しながら使うことになります。

設置スペースではエコジョーズは480×250×750(mm)で普通の給湯器と同程度です。エコキュートは、タンクの大きさが630×790×2200(mm)なので、1㎡程度の大きな設置スペースと床補強が必要になります。

【参考初期導入費用(工事費別)】
リンナイ製:寒冷地用給湯暖房機フルオート24号 定価436,800円(税込)
実勢価格は5割程度

・エコウィル(ガス)

都市ガスを燃焼させエンジンを動かして、エンジンに接続した発電機で電気を作りだしその時、発生する熱を利用して、お湯もつくりだす仕組みです。ガスコジェネレーションシステムと言われるシステムです。初期導入費用は実勢で70万円程度になるようです。お湯は貯湯タンクに貯めて使い、バックアップシステムとして補助熱源機がつきます。エネファームも同様ですが、お湯がタンクに貯まってしまうと発電しないというしくみになっている点に使用上の注意が必要です。価格面で、エネファームと比較すると安いので、導入しやすいシステムと言えます。

・コレモシステム

エコジョーズと併用して使う家庭用コジェネレーションシステムです。暖房を行うと自動的にガスエンジン(発電機)が稼働して発電を開始し、その排熱を利用してパネルヒータ-や床暖房などの暖房用温水を作ります。北海道の一般的な一戸建住宅において、排熱利用で暖房の6割~7割(年間)をまかないます。自家発電により年間電気代の約4割を削減できます。「コレモ」は作ったお湯を貯めるための貯湯タンクが不要で屋外に「コレモ」、屋内に「エコジョーズ」を設置するだけなので、室内スペースを有効に活用することができます。暖房の残りの3割~4割はエコジョーズがバックアップします。(北ガスホームページより引用)

コレモ暖房
発電時の排熱のみを使った暖房が可能です。エコジョーズを稼働させる必要がないため、大きな暖房負荷を必要としない春先や秋口に最適なエコ暖房をご利用いただけます。(北ガスホームページより引用)

従来の方式よりCO2削減効果は年間約1トン、光熱費は約4万5000円節約できる。オープン価格で50万円程度を想定。(日本経済新聞記事より引用)

今後検討していきたいシステムです。

・エネファーム(ガス)

都市ガスの中に含まれる水素と空気中の酸素を化学反応させて電気つくりだし、その発電時に発生する熱を利用してお湯をつくる仕組みです。燃料電池と言われているシステムです。すばらしいシステムですが、難点は初期導入時コストが高いという点です。国の補助金(上限額45万円)や自治体の補助金があるので、それらを使って初期費用を少しでもおさえることが可能です。 設置スペースは、一例として2,691×750(mm)のスペースが必要とされています。

【参考初期導入費用(工事費別)】
燃料電池ユニット・貯湯ユニット・バックアップ熱源機のセット
製品定価1,995,000円(税込)

・ハイブリッド給湯・暖房システム

エコキュート(電気)とエコジョーズ(ガス)の併用です。ヒートポンプで大気の熱を吸収してお湯をつくり給湯タンクにお湯を貯め、一方で都市ガスを燃焼させてもお湯をつくります。夜間電力を利用して夜間にお湯をつくっておくヒートポンプといつでもお湯をつくることができるエコジョーズの掛け合わせでお湯の利用に不便さを感じないシステムです。エコキュートと同程度の初期導入費です。

【参考初期導入費用(工事費別)】
リンナイ:ヒートポンプユニット・タンクユニット100Lタイプ・熱源ユニットのセット 製品定価803,250円(税込)実勢価格では50万円程度

・地中熱ヒートポンプシステム(地中熱)

地中にボアホールという深い穴を掘り、そこにパイプをループ状に挿入してその中に不凍液を満たして循環させる方法で、地中熱を採熱する仕組みです。戸建住宅の場合、10kwの出力に対して100m~150mの掘削をします。初期導入費用は実勢で280万円程度とされています。サンポットなどが、国産地中熱ヒートポンプユニットを開発し低価格化が進んでいます。国や自治体に補助金がありますので、それを利用して初期費用をおさえることになります。

・ヒートポンプ式温水暖房システム

大気の熱を吸収してパネルコンベクター、ファンヒーター、床暖房配管にお湯を供給します。エコヌクール(三菱)とパナソニックのシステムは床暖のみ、コロナは床暖以外にパネルコンベクター、ファンヒーターへの併用供給のシステムとなっています。 同一の室外機で夏はエアコンに利用し、冷房も行うことができます。

【参考初期導入費用(工事費別)】
コロナ:室外ユニット2台・循環ポンプ1台のセット 希望小売価格約78万円
三菱エコヌクーク:暖房対象面積が76.15㎡ 定価約190万円(税込)

35坪程度~40坪程度の家を一般的暖房ボーラ―を使って、セントラルヒーティングをするとシステム全体で工事費を入れて実勢130万円〜150万円程度ですので、それよりは高くなります。

太陽光発電について

1980年代では太陽光パネルといえば配管をパネルの中に配し、不凍液を通してその不凍液を温め循環させてお湯をつくるという集熱貯湯方式の「太陽光集熱システム」でした。それも試験的に使ってみるという程度でした。1990年代に入り従来からの集熱貯湯方式に加え、住宅メーカーや電量販店が積極的にPRしている利用方式として結晶板をつかって発電する「太陽光発電システム」がポピュラーになってきました。どちらのシステムもそれぞれ良さがありますが、どの方式にせよ太陽光を利用するという自然エネルギー利用促進という点で今後も増々この流れは続いていくと思われます。採用にあたり、検討するポイントを説明いたします。

コストについて

初期導入費用、売電収入のそれぞれの概算をつかむことが必要です。補助金申請の時の初期導入費用の上限目安から費用概算をつかむこととします。 太陽光発電普及拡大センターへの補助金申請では、導入費用上限1kwあたり41万円以下、もしくは50万円以下となっています。一般的に戸建住宅に導入される太陽光発電容量は、3.5kw~5kwですので、導入費用上限の1kwあたり41万円で計算すると123万円~205万円ということになります。

売電収入予測は太陽光で発電した電気―自宅で消費した電気=売電分の電気量ですので、その推定売電分電気量(余剰電気量)に平成25年度1kwあたり38円の10年間固定売電価格を掛け算して算出します。札幌市のオール電化住宅としてメーカー(LIXIL)の太陽光発電システム導入シュミレーションソフトを使って試算してみます。

条件

● 札幌市
● オール電化住宅
● 35坪
● 屋根形状 切り妻
●屋根傾斜 6寸勾配
● 設置屋根 東面
● 生活スタイル 日中在宅と日中不在の中間
● 設置前の電気量支払 月平均13,000円 年間154,000円

  • 発電システム 5kw フルパネル20枚(※屋根一杯に設置すると35枚 7.5kw)
  • 補助金利用 国100,000円、札幌市105,000円
  • 10年後にパワーコントローラー取替 20万円
  • ローン支払いなし

シミュレーション結果

●予測発電量 年間4,497kwh

  • 光熱費予測 予想節約金額は月々11,374円節約 年間136,488円の節約
    (売電収入と曇り、雨、夜間などでの購電支出の増減を考慮した予測)
  • 17年後に投資金額205万円を回収完了

この場合毎月支払っていた電気料金の約87%を払わなくて済むことになり、実質の毎月の経済的負担が相当軽くなるという結果となり、20年間以上の長期の検討では17年目に初期導入費が回収される計算となりました。ローンの場合は回収期間が金利の分長くなりますが、長期スパンで考えると選択も有るのかと思います。

耐久性、寿命(保証期間、耐用年数)について

公称寿命はメーカーによって違います。発電効率の比較と合わせて耐久性比較も検討したいところです。
一般的に太陽電池モジュール自体は約20年以上と言われていますが、その他の配線やバックフィルム、フレームやネジに耐蝕性メッキなどが施されている等の仕様はメーカーにより違いがあり、実際の耐久性については、まだ歴史が浅い分不明な部分があります。

一例としてメーカー(シャープ)の記述では以下のようになっていますので、参考としてください。

  • 保証期間:システム設置時に10年保証(無償)または15年保証(有償) の選択。
  • 寿命について:太陽電池モジュールで約20年以上。その他の機器は設計寿命が10年程度の部品を使用。

発電効率の劣化について

太陽電池モジュールの種類(単結晶、多結晶、CIS等)によって違います。
単結晶の場合で10年後92.4~93.7%、20年後85.3~87.8%、25年後82~85%で、どのメーカーも劣化は避けられないようです。

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