設計のポイント:耐震について

昭和56年(1981年)以前の建物は早めの対策が必要です。

もしお住まいが昭和56年(1981年)以前の建物なら耐震診断をお勧めします。札幌市(中央区)における1963年以降50年間の地震回数は、震度3以上が12回、震度4が4回記録されています。(平成25年度調べ:気象庁の資料による)札幌では震度5強以上の地震経験が無いため、首都圏や東北地方よりも地震に対し、緊迫した雰囲気がありませんが、札幌市では2012年に市内全域について最新の知見等を基に札幌で発生する可能性があり、最大級の被害をもたらす地震を想定して被害を予測した地震防災マップを公表し各区消防署、区役所などで配布しています。震度5、震度6、震度7など予測されている区域を色分けし、液状化危険度や建物全壊率などがマップ化されています。今まで100年間、50年間はなくても1000年に1度、500年に1度と呼ばれる大地震に備える必要はあるように思います。

耐震診断について

建築年次が昭和56年(1981年)6月以降かどうかが耐震診断の必要性の判断の一つの目安となっています。それは前年の最大震度5を記録した宮城県沖地震を受けその年の5月以前は建築基準法の旧耐震基準、6月以降が新耐震基準となり、大きく構造基準を変えた年だからです。大きな変更点は、設計目標を大きくアップしたことです。旧耐震は「震度6弱程度の地震が来ても倒壊しないこと」とされていましたが、新耐震では「震度6強〜震度7の地震に倒壊しない」ということになりました。 最大震度7だった阪神淡路大震災では6,400名を超える方が亡くなられましたが、その内約8割は、住宅の倒壊によるものでした。その中で新耐震基準の住宅の被害が小さかったことが報告されており、旧耐震の住宅の耐震対策が課題となりました。耐震診断は、各自治体が診断費の助成制度も設けており、札幌市の場合は、昭和56年5月以前の住宅は、耐震診断費用が無料となっています。

当社では、札幌市木造住宅耐震診断派遣事業における耐震診断員登録者として、耐震診断を行っています。補助制度を活用されることをお勧めいたします。リフォーム施工会社ではありませんので依頼された耐震診断以外のセールスはしません。その結果、強度が不十分であると診断された場合などは必要に応じて、基礎の鉄筋の有無や建物の傾斜を測定するなど、より詳細な診断を行います。

耐震補強

診断の次の段階として耐震(補強)設計をご依頼された場合は、さらに詳細な現地調査を行い耐震設計計算と耐震改修工事の見積ができる設計図を作成致します。耐震(補強)設計に対しても自治体の補助制度がありますので、活用をお勧めしています。耐震補強工事について、札幌市の場合は昭和56年5月以前の住宅は、80万円/戸(最大)の補助があります。

耐震診断現地調査は、私(1級建築士)がご住宅に伺い半日程度の調査で、床下、小屋裏からの目視を含め、地盤、基礎の形状、鉄筋の有無、筋違、仕上げ材などを調べます。

建物老朽度を考慮した「一般診断法」で診断計算をし結果を評点で評価し、「倒壊の可能性」など現状の耐震性能のご報告をいたします。

耐震診断の結果「大地震時に倒壊する可能性が高い」「大地震時に倒壊する可能性がある」と評価されたご住宅には、「どの部分が弱いか」「どの部分をどのように補強するとよいか」という耐震(補強)設計方針をご説明します。補強するための費用等のご質問にも(一社)日本建築防災協会の統計資料をもとにした概算費用をご説明させていただいています。

間取りの変更によって柱を抜く必要がある場合も新しく梁を掛けることで強度を確保します。木材の腐朽やシロアリの被害などがあった場合は、傷んだ部分を新しく入替え、構造体を強化します。新築・リフォーム問わず、まずはご心配な点をご相談下さい。

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