省エネルギー住宅

平成28年省エネ基準

2016年4月1日に交付された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する基本的な方針」(国土交通省告示609号)では、「規制の必要性、程度、バランス等を十分に勘案しながら、平成32年(2020年)までに住宅を含む新築建築物について段階的に一定のエネルギー消費性能に関する基準への適合を義務化する」と記載されました。

では一定のエネルギー消費性能の基準とはどのようなものか説明したいと思います。一定のエネルギー消費量に関する基準とは、まず「外皮熱性能に関する基準」と「一次エネルギー消費量の基準」との二つで構成されています。

● 外皮性能の基準
外皮性能の基準とは外壁、屋根、窓などの外皮からの熱損失量を外皮平均熱還流率UA値という数値で評価した基準です。

● 一次エネルギー消費量の基準
一次エネルギー消費量の基準とは暖房設備、給湯設備、空調設備、換気設備、照明などで消費されるエネルギーのガス、灯油、電気など「二次エネルギー」のMJ、ℓ、KWHといったバラバラのエネルギー単位を、化石力燃料、水力・太陽光など自然から得られるエネルギーの「一次エネルギー」に換算して統一したエネルギー単位(MJ)でエネルギー消費量を評価した基準です。消費エネルギーだけではなく、太陽光など創り出すエネルギーについても同様に評価することとされています。

したがいまして、2020年には全ての国の大きな方針に合わせて考えると基本的には新築住宅で外皮平均熱貫流率UA値の算出と一次エネルギー消費量の算出が必要となり、建て主への基本情報としても1棟、1棟、の省エネ性能がわかるようにしなければなりません。ただ「年間MJです」と説明されてもどのくらい省エネになるのかわかりづらいかもしれません。当社では年間一次エネルギー消費量を算出したあと、わかりやすくするために費用に換算してご説明するようにしています。

基準値について

●平成28年省エネ基準

次に基準を具体的な数値でご説明したいと思います。国の基準では北海道札幌市は地域区分2、外皮性能は、品確法住宅性能表示で断熱等性能等級4、UA値0.46W/㎡K以下、一次エネルギー消費量等級4(平成28年基準)または一次エネルギー消費等級5(認定低炭素基準)以上となっています。

●札幌版次世代省エネ基準

また、札幌市独自での札幌版省エネ基準がつくられ省エネ住宅の推進が図られています。札幌版次世代省エネ基準は新築では5つのレベルがあります。

  • ミニマムレベル(UA値0.46以下、1次エネルギー消費量等級4、暖房+換気の消費量90%以下、C値1.0以下)
  • ベーシックレベル(UA値0.36以下、1次エネルギー消費量等級5、暖房+換気の消費量75%以下、C値1.0以下)
  • スタンダードレべル(UA値0.28以下、1次エネルギー消費量等級5、暖房+換気の消費量60%以下、C値1.0以下)
  • ハイレベル(UA値0.22以下、1次エネルギー消費量等級5、暖房+換気の消費量45%以下、C値1.0以下)
  • トップランナーレベル(UA値0.18以下、1次エネルギー消費量等級5、暖房+換気の消費量35%以下、C値0.5以下)

ベーシックレベル以上の新築住宅で補助金があります。

札幌版次世代省エネ基準は改修住宅では、3レベルがあります。

  • ベーシックレベル(UA値0.36以下、1次エネルギー消費量等級5、暖房+換気の消費量75%以下、C値5.0以下)
  • スタンダードレべル(UA値0.28以下、1次エネルギー消費量等級5、暖房+換気の消費量60%以下、C値2.0以下)
  • ハイレベル(UA値0.22以下、1次エネルギー消費量等級5、暖房+換気の消費量45%以下、C値2.0以下)

この札幌版次世代住宅補助制度の補助対象にはなりませんが、改修工事について別途「住宅エコリフォーム補助制度」を利用することができます。
※相当隙間面積(C値)とは、気密性能の指標で、床面積1㎡当たりの隙間量C㎡を表したものです。C値が小さいほど気密性が高いことを示しています。

ZEHについて

エネルギー基本計画のZEHの政策目標達成のために、経済産業省資源エネルギー庁に「ZEHロードマップ検討委員会」が設置されました。その検討結果が、2015年(平成27年)12月17日、ロードマップとして発表されました。2020年までにZEH住宅の自律的普及を図り、新築住宅の過半数をZEH住宅化するというものです。当社で採用する創エネの設備には物件ごとにイニシャルコスト、ランニングコスト、耐用年数を検討の上採用いたします。

また、ZEHの普及を促進するためZEH基準が設定されました。札幌はZEH基準ではUA値0.4ですが、当社はそれを上回るUA値0.36以下を標準仕様としています。

● 用語解説
ZEH住宅とはゼロ・エネルギー・ハウスの略。エネルギー消費量を抑え、一方で使うエネルギー分を総エネ装置を利用して建物のエネルギー消費量を概ねゼロにするものです。代表的な創エネ装置には太陽光パネルがあり、ガスを使ったコジェネレーションシステムであるエネファーム、エコウィル、コレモ+エコジョーズなどがあります。

LCC(ライフサイクルコスト)について

ライフサイクルコストとは住宅の建築から解体までの間にかかる総費用(生涯費用)を示すものです。建築費は最初にかかる費用で、イニシャルコストです。その後かかる費用には3つの費用があり、修繕費、光熱費、メンテナンス費などのランニングコストです。最初にかかる建築費は見えやすいので、住宅建設時には意識が集中しがちですが、その後にかかる費用は実はとても大きくなかなか見えないため、建築費のことを氷山の一角と表現されることが多いです。

「建物は竣工後から解体廃棄されるまでの期間に建設費のおよそ3~4倍の費用がかかるといわれている」
(鹿島建設ホームページよりLCCについての説明より抜粋)

省エネ住宅は、その省エネ性能を良くしようとすると建設時にイニシャルコストが高くなります。一つの設備だけ考えても100万円、200万円と高額な設備もありますし、窓のグレードを上げても100万程度アップすることもあります。先進的な設備が普及していく中で少しづつコストは安くなっていくと思われますが、現状は補助金などを利用しながらの計画となることが多いです。省エネ性能をアップして仮に年間10万円光熱費が安くなったとすると、1年で10万円、10年で100万円、20年で200万円、30年で300万円節約できると考えることもできます。また外壁材や屋根材などその建材の耐久性も考えたいところです。耐久性の高い材料は高く建築工事費アップになりますが、修繕サイクルが長くなることで、修繕費が少なくて済むということがあります。当社ではLCCに着目して、設備や材料を選定します。

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